サンフランシスコ、
シリコンバレーで活躍する日本人

SUCCESS

ChatWork代表取締役 山本敏行

日本での経営は前世

*

先日btraxのサンフランシスコオフィスにて開催されたイベントより、シリコンバレーで活躍する日本の方々の持つ情熱や意気込みを紹介する今シリーズ。今回のパネルディスカッション参加メンバーは:

  • ホンダ・シリコンバレー・ラボ,シニア・プログラム・ディレクター: 杉本直樹
  • ヤマハ・モーター・ベンチャーズ・アンド・ラボラトリー・シリコンバレー, CEO: 西城洋志
  • ChatWork, 代表取締役社長 : 山本敏行

前回のレポートに引き続き、シリコンバレーで活躍する3名を招いて行ったパネルディスカッションイベントでの第3弾として今回は社長として自ら日本からシリコンバレーに移住し、本場でサービス展開を行なっているChatWorkの代表取締役である山本さんのお話をまとめた。

第一弾:ホンダシリコンバレーラボ シニアプログラムディレクター 杉本直樹 - 「衝撃のユーレカ モーメントを逃すな」
第二弾: ヤマハモーターベンチャーズ CEO 西城洋志 -「白がほしいんだったら黒を見ろ」

福岡市主催によるグローバル起業家育成プログラム向けにbtraxの運営によって開催された今イベントでは、btraxの元”インターン”でもある山本さんが、本場の厳しさや、日本とアメリカとのマネージメントの違い、そしてグローバルで展開する事に対する心構えを語ってくれた。

どうやったらシリコンバレーに進出できるようになりますか?

シリコンバレーは溶岩の海

まずシリコンバレーにいきなり来るというんだったらやめた方がいい。日本の経産省とかいろんなプログラム作って告知して「いけぇ!」ってやってますよね。それでウミガメみたいに卵いっぱいあって一匹だけ生き残るみたいなのを期待している。でも僕はそれは嘘だなと思っていて。数だけじゃシリコンバレーでは無理だと思っている。

僕はシリコンバレーは溶岩の海だと思っています。だから卵が入った瞬間「じゅっ」て燃え尽きちゃうんで無意味だと思っています。それなら本気で地力で進出してくる人を支援したほうがいいと言いました。でも勝手に来た人には政府の予算を付けるのは難しいらしいんですよね。

何が大変かというとまずVISAが非常に大変。最低限自分の国でやれていないとまずVISAはおりませんね。大統領がトランプさんになったからさらに難しくなるかもしれません。

日本での経営は前世

僕の場合、日本で事業もチームもあったけど、それでもシリコンバレーに来たら大変でしたね。何が大変だったかっていうと「仕事に対する考え方」が全然違う。日本で10年くらい経営をしてて、従業員満足度日本一に選ばれたり、経営はこういう風にやるみたいな講演とかをしてたんですね。

でもそういう考えでシリコンバレーに来たら全然違いました。こっち来てから「日本でやっていた経営は前世だった」と思うくらい違いを感じました。人も場所もカルチャーも全く違うので、日本の経営で学んだことをアメリカのPR会社とかで話すとアメリカ人の人はポカーンとしてたんですよね。「え、そんなことしたらダメなんじゃないの??」みたいな。普通にあり得ないみたいな感じなんですよ。

参考:アメリカ企業にインターンして気づいた世界進出へのポイント (前編)

だからいったん忘れてやる必要がありましたね。ほとんどゼロベースから始める必要がありました。まあ一応前世の記憶がある分アメリカでの実験は早くできるんですけど(笑)なので日本で固まってないのにいきなりこっち来ると溶岩の海に飛び込むのと一緒ですよ。

これからグローバルでやっていきたい方はグローバルのことを常に意識してやるということが大切。いつかチャレンジするぞと常に頭の片隅に置いておく。基本的にグローバルにやろうとする人は「日本でいけた、じゃあシリコンバレーに行こう」というやり方が多いのですが、それではなかなか上手くいきません。

だから同時並行で考えて、シリコンバレーに常に視察にもきてやってやるという考え方が重要。僕も実際世界でやるということを決めていたので、2005年から毎年一回シリコンバレーきて商談してカンファレンス行うということを続けていました。

最初からあれこれしようとするとコケるので、自分がよくわかるところで地固めすることが大切。将来グローバルでビジネスをしようと思っているなら、出た利益は全部アメリカにつぎ込むぞみたいに将来の原資にするように考えるべき。やっぱり一歩一歩階段を上がっていく事が重要ですね。

参考:メルカリ, JCB, スタートアップ弁護士に聞く – なぜ日本企業はサンフランシスコ・ベイエリアへを目指すのか【イベントレポート】

*

日本とアメリカのマネジメント方法での大きな違いは何ですか?

社長は一番偉くない

基本マネジメントは真逆だと思った方がいいです。例えば社長が一番偉くないとかですね。当時btraxでインターンをしていた時、バーベキューパーティーみたいなのがありました。もし日本だったら社長がパーティーやるってなったら社長権限で「来るよね?」って会社の行事でやると思います。

でも社長のブランドンさんが何やってるかっていうと、「土曜日バーベキューパーティーあるんだけど来れるかな?」って一人ずつ聞いて回ってたんですよね。めっちゃ下手に出ながら。しかも普通に「忙しいです」って言って断られてた(笑)日本からすると考えられないですよねこういうことは。

参考:アメリカ企業にインターンして気づいた世界進出へのポイント (後編)

他の例では日本だと3年ごとに転職をしていたら根性ない奴だってなりますよね。でもシリコンバレーだと3年ごとの転職は全然普通。あと引き継ぎも日本だと3か月~6か月とかかかるけど、アメリカだとスペシャリストでやってるからサクッと一瞬でやめて引き継ぎも短いです。

迷ったりして気持ちが揺れ動くときに大事にしているみたいなことは何かありますか?

迷ったら犬にでも話す

アドバイスはもらうんですけどそこまで集中していません。だって自分の中でもまだわかっていないことを、人からアドバイスをもらうというのは無理だと思っているので。なのでどんどんしゃべりながら周りの人の反応が良くなってきて、3人に2人くらいがよさそうな反応になってきたらやるようにします。

でもやったら想定してないことが起きて失敗します。打率にしたら1割以下ぐらいかもしれません。でもとにかくいっぱい話してやるというふうにしてます。

対談内容のメモを取る福岡の起業家達
対談内容のメモを取る福岡の起業家達

日本とシリコンバレーの人材育成の違いはなんですか?

一攫千金のDNA

最近データとして知ったなんですけど、 サンフランシスコにはGold rushで一攫千金当ててやるぜみたいなDNAの人たちが、昔は500~600人だったところが、2年で3~4万人くらいに増えています。なのでシリコンバレーを見ていると世界中で他に生まれないだろうなということがありますね。

なぜかというと今でも世界中から「シリコンバレーでなんかやってやるぜ」みたいなDNAを持った人たちが集まってくる。そういうところに対して教育とか制度とかあんまりいらなくて制度なんて自分たちが変えてやるぜみたいな人たちが集まっています。やっぱり人が重要なんですね。

参考:シリコンバレーは一攫千金を狙ったドロップアウト達のステージ【対談】大前研一 × Brandon K. Hill

マネジメントのバイリンガルになる

こういう話を聞いていると日本ダメなんだという風になってくるが、ちょっと違う観点からめっちゃチャンスだと思ってます。日本の同質性というのは逆にチャンス。会社っていうのはトップで決まるんですよ。日本っていうのは安倍さんで変わったじゃないですか。

これと同じように、もし会社のトップが日米両方のことをわかっていて、両方のマネジメントができるとなるとチャンスになります。Googleの元日本社長村上さんとしゃべってるときに驚いたことがあります。「なぜGoogleの社長になれたんですか?」って聞いたら、「簡単や、順番回ってきたんや」と言われました。

どういうことなんですかって聞いたら、日本で大企業のマネジメント方法分かってて英語喋れてっていうのは200人しかおらんのやと。よくよく考えてみたら例えば原田さんとかアップル・マクドナルド・ベネッセの社長とどんどん回ってくる。

これってすごいチャンスだなと思っています。なので今の自分の経営者のキャリアパスという点においては、「マネジメントのバイリンガルになる」というのが目標です。ただのバイリンガルはいくらでもいるけどマネジメントのバイリンガルというのはなかなかいない。

日本のいい点というと、日本は本当に阿吽の呼吸でやりやすいです。「やるぞ!」って言ったらよくわからないけどみんなめっちゃやってくれる。だから製造業等がいまだに成功しているんでしょうね。こんないい環境ないですよ。これをチャンスと思わないでなんなんですか!

参考:日本の技術力が世界的にすごい本当の理由

ChatWorkとは

ChatWorkとは2000年に創業したEC Studioを改名した会社で業務連絡をEmailでなくチャットを用いて行うというサービスを提供している。同じようなサービスとして海外初のサービスSlackが挙げられるが、タスク管理・ビデオ・音声通話機能等の特徴を持ち、現在では世界で11万9000社以上の企業へ導入されている。

チャットワークのご利用はこちらから

代表取締役の山本氏は日本のIT企業が全然海外に進出してないことに危機感を感じ、自分がやらなければならないという使命感を持ってシリコンバレーへの進出を決断した。しかし全くノウハウ等がなかったため、サンフランシスコに拠点を持つbtraxで2か月間インターンを行なった後に自らシリコンバレーに本格的に進出している。

(執筆・インタビュー Tatsuya Honda / CEO Assistant, btrax, Inc.)

btrax (ビートラックス)とは

btraxは米国サンフランシスコに本社、東京にもオフィスを構えるクリエイティブ・エイジェンシー。これまで多くのアメリカ・国際企業に対してブランドコンサルティングサービス及び日本企業の国際展開とイノベーション創出サポートを提供。こちらからお問い合わせ下さい。

またbtraxはデザインをメインにしたコーワーキングスペース、D.Hausを開設致しました。D.Hausは デザイン的視点から日本企業と地元のスタートアップがコラボレーションを行うことを目的に、2015年10月1日よりサンフランシスコに開設されているオフィススペースです。単なる作業スペースだけではなく、最新情報の提供やメンターシップ、イベントを通じ、ヒトと技術をデザインで繋ぐ事により、イノベーション創出の為のプラットフォームを実現します。こちらには崇城大学も入居しています。
D.Hausのご利用により敷金、礼金、保証金無しでサンフランシスコにオフィスを持つ事が可能です。詳細、資料請求等は公式サイトまで