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AIで変わる これからの購買体験【btrax】

人工知能、AI, ディープラーニング、機械学習、ロボティックス。巷ではこれらのバズワードが話題になっている。

米国Tractics社のリサーチによると、世界規模におけるAI関連の売り上げは2016年の6.44億ドルから2025年までに368億ドルまで拡大する見込みである。また、Forresterによるリサーチでは同じく2025年までにアメリカにおける7%の職業がAIに取って代わられると予想されている。

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では、現在それらの最新テクノロジーは果たしてどのようにビジネスに活用されているのであろうか?確かに最近ソフトウェア会社を中心に多くの製品にAIが”実装”されていると謳うケースが多いが、そもそものAIの概念の曖昧さから、実際にどれだけ実装及び活用されているか定かではないのは事実である。

「予想」や「見込み」なんていう「未来予想」のようなものではなく、”実際に”導入されているものを知りたい。そんな読者の皆様の為に、今回は日常の買い物を切り口に、人工知能が“リアルに”活用されている4つの事例をまとめた。

1. The North Face × IBM Watson

「どんなAIを知っていますか?」と聞かれて、IBMのWatsonが真っ先に思い浮かぶ人は読者の皆様の中にも多いのではないだろうか。最も有名なAIと言っても過言ではないWatsonの名が知れ渡るきっかけとなったのが、2011年にアメリカのテレビ番組でクイズに挑戦し1億ドルもの賞金を獲得したこと。それから約6年が経った今、Watsonはもはやテレビの中だけではなく実際に私達の生活にも様々なかたちで影響を及ぼし始めている。

例えば、私たちの日常に無くてはならないオンラインショップ。もはやオンラインショップを開設していないブランドを探す方が難しく、ただオンライン上で商品が買えるというだけでは到底差別化は出来なくなっている。そんな中、IBM Watsonの力を借りることで他のブランドとは違った「新しい購買体験」を提供しているブランドがある。それがThe North Faceである。

Watsonの導入により従来は難しかった“接客”がオンラインショップ上で可能になった。「どこに行かれるのですか?」「いつ着られるのですか?」といった質問から、シチュエーションに応じた最適な洋服を教えてくれる。実際に使ってみるとわかるのだが、インターフェイスもシンプルでオシャレ。これは使ってみたくなるのも納得である。この導入の効果は数字にも表れており、同社によると、Watsonに“接客”を受けた顧客の客単価の方がそうでない顧客よりも15%以上も高かったという。

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↑あなたの街ではどんな服がおすすめされるだろうか?気になる方はぜひこちらから試してみて欲しい。

店員に話かけられるのが苦手な方も多いと思うが、これなら自分のペースで買い物が出来、なおかつデータに基づいたある意味“確実な”おすすめを教えてくれる。さらにオシャレでわかりやすいインターフェイス。誰もが一度Watsonに“相談してみよう”と思うのではないだろうか。そうなれば、この導入は大成功だと言えるだろう。

更に、Wastonが多彩な話術を操るカリスマ店員の地位を奪っていくのも時間の問題かもしれない。同社は購入者によりよい体験を提供する為、いずれはガイドブックのような機能も加えたいという。アラスカに着ていく服が欲しいと伝えれば、一番暖かいダウンコートと一緒におすすめの観光地をも教えてくれるようになる日もそう遠くないだろう。

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2. スターバックス

3人に2人がアプリでオーダー

日本でそのような印象は薄いかもしれないが、以前よりスターバックスはモバイルでのオーダーに力を注いできた。アメリカでは数年前から近くの店舗にスマートフォンで注文・支払いをし、一切並ばずに飲み物を購入出来るアプリを導入。これはスタバ利用者の間に深く浸透している。今やスタバ会員の3人に2人はこのアプリを使ってコーヒーを注文し、全体売り上げの25%がこのアプリを通してのものだという。

テキスト入力はもはや時代遅れ

そしてそのスターバックスが遂にAIによる注文サービスを年内にも開始すると発表した。その名も「マイ スターバックス バリスタ」である。文字ではなく音声をインターフェイスとする、Siriのようなアプリになるという。まるで店舗でバリスタと話をしているように飲み物をオーダーし、近くの店舗で待ち時間ゼロで受け取ることが出来る。「この前注文した飲み物と同じものを」と話かけると最近オーダーしたものを見せてくれ、ワンタッチで注文出来る。数年前は革新的であったスマホアプリでテキスト入力での注文も、AIの台頭によりもはや時代遅れの技術となってしまったのだ。

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使えば使うほど、あなたのことを理解する

もちろんそれだけではない。過去の注文履歴からその人の好みに合う飲み物や特典を紹介してくれるのだ。それも新商品のおすすめを教えてくれる、そんな従来のメルマガのようなものではない。購入した時間や商品からその人のパーソナリティの判別を試みるという。

例えば、毎朝同じ時間にホットコーヒーを買う人は通勤前の人が多いというデータから、そのような人にはアプリ上でゲームが出来るようにした。これで電車やバスの中で暇を持て余している時間にゲームを通して、スタバのことをより知ってもらえるようになるという訳である。更には、アイスコーヒーはホットコーヒーに比べて、3時のお菓子の時間に頼まれることが多いというデータから、アイスコーヒーばかり頼む人にはお菓子の無料お試しクーポンが配信される。

こんな気の利いたサービスを受けると、誰でもそのお店のことが好きになってしまうのではないだろうか。使えば使う程あなたの好みを理解し、それに応じたサービスを提供してくれる。まさに「“マイ” バリスタ」という訳である。

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3. Lowe’s(生活家電チェーン)

実際に店舗において「人間ではなくロボットの店員」が接客をしてくれる。そんなSF映画でしか起こり得なかったことが今“実際に”起きている。

店内を徘徊するロボット店員

それを実現しているのが生活家電チェーンのLowe’sである。一部の店舗内では、AIの埋め込まれた「LoweBots」と呼ばれるロボットが店内を徘徊しており、顧客の質問に答えてくれるのだ。店員が近くに居なくても、探している商品があれば、このロボットが教えてくれる。

それだけではない。LoweBotsはセンサーによる動作認証に加え、人間と物体の判別をもすることが出来る。それは、人間が動いているか止まっているかを判断することが出来ることを意味する。つまり、顧客が長い間商品棚の前で立ち止まって居たら、「何かお探しですか?」と話かけることも出来るのだ。更に、位置情報や顧客とのやり取りをデータとして蓄え、販売の傾向を予測することも容易にするという。まさに、人間の店員にも劣らない、ロボット店員だと言えるだろう。

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VRによって実現する未来の購買体験

さらにLowe’sはマイクロソフトと共同で開発された、AIの埋め込まれたVRヘッドセットを一部の店舗で導入するという。このVRの特徴はPinterestアカウントと同期できることである。

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オシャレな画像を検索し、保存することの出来るPinterest。理想の部屋のデザインをPinterest上で保存している方も多い為、店員が質問を通してどのような好みなのかを理解しようとしなくても、その人のPinterestアカウントを見れば“理想の部屋”が一発でわかる。

であれば、Pinterest上に保存してある部屋の画像を分析し、好みのテイストの商品だけを見せる方がより良い購買体験になる可能性が高い。Lowe’s R&D部門のKyle Nel氏が語るように、”1000種類のカーテンを見えるよりも、好みに基づいた数種類だけを見せるだけで良い”のだ。更に好みの家具だけでデザインされた“理想の部屋”をVR上で訪れることが出来れば、それはまだ誰も知らないであろう、未来の購買体験となるだろう。

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4. Amazon

皆さんもご存知の通り、Amazonは現在最も勢いのある会社の一つである。”Amazonによって人々はAIの便利さを理解し始めた”とアメリカの大手広告代理店のテクノロジー部門のトップが話すように、今やスマートホームの分野では、GoogleやAppleをも凌ぐ存在だ。

一家に一台、Amazon Echo

そんなAmazonのAIにおける技術力を一気に世に知らしめたのが、Amazon Echoである。搭載されているAlexaというAIは、電気を消したり、天気予報を教えてくれたりすることはもちろん、「Alexa、トイレットペーパーが無くなったわ」と話かけるだけでAmazonでオーダーしてくれたり、車のエンジンもかけて車の中を温めておいてくれるというから驚きである。2020年までに4000万以上の売り上げが予想され、まさに一家に一台の規模になるだろう。

そして、このAlexaを搭載しているのは何もAmazonの製品だけでは無くなってきている。General ElectoronicsはこのAlexaを搭載したライトを発売予定だと発表し、Amazon Echoと同じようなことをこのライトを通して可能にする予定だという。

また、同社が作るLabracadabraという子ども向けの教育玩具もAlexaと一緒に使うことが出来る。この玩具は身近なものから科学の面白さを教えてくれる(例えば、ベーキングソーダとレモンを使って火山噴火のような科学反応を起こせる)のだが、まるでマンツーマンレッスンをしてくれるかのように、Alexaと一緒に作り上げることが出来るのだ。

例えば「今日はどんな実験をしますか?」「水を1カップ入れて下さい」「この薬品は刺激臭がするので、鼻を近付けないように」というように実際の先生のような役割をAlexaがしてくれるという。どんな実験の前にもAlexaはきっと「手袋をはめましたか?」と聞くだろう。それが実験開始の合図なので、「Yes, Alexa!」と答えて実験を進めよう。

財布の要らないスーパー – Amazon Go

しかしこれらはまだまだAmazonの持つAI技術の氷山の一角でしかないだろう。レジでの支払いを全く必要としないスーパー、”Amazon Go”を発表した際には大きな話題となり、驚いた方も多いのではないと思う。

このスーパーもAIの技術無しでは成し得ない。来店者はAIの埋め込まれたアプリをダウンロードをしている必要があり、このアプリが位置情報を利用してどの商品をカゴの中に入れ、どの商品を棚に戻したかを把握するのだ。もちろん、決済も事前に登録しておいたクレジットカードから引き落とされる。つまり、このスーパーで買い物をする際は、財布は無くても構わないがスマホは必須だ。

この近未来のスーパーは現在はAmazonの社員のみ使うことが出来る。年内に予定されている一般の人へのオープンが待ちきれない。

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まとめ

今回ご紹介した製品やサービスは“実際に”導入されている、または最も遅くても年内には導入されるものばかりである。SF映画で描かれている夢の世界でもなければ、「〜だったらいいな」なんていう頭の中の空想でもない。リアルに製造されており、活躍しているものばかりである。

数年前にこれらの出現を予想出来た人が何人居るだろうか?AIは良い意味でも悪い意味でも、私たちの様々な常識を“破壊”し得る存在だと言える。

では、そんなAIと私たち人間が共存するであろう未来の社会はいったいどのようなものになるのか。誰にも予想出来ないだろうが、今まで想像も出来なかったことが起こり始めているが故に、過去の前例に囚われていると痛い目に遭いそうな予感がしてならない。

参考: 5 Bleeding-Edge Brands That Are Infusing Retail With Artificial Intelligence

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