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今サンフランシスコで注目されている、フードデリバリー業界のスタートアップ5選

今やスタートアップの激戦区となったサンフランシスコでは、毎日のようにビッグドリームを持つ企業家、エンジニア、デザイナーたちによってクリエイティブなアイディアが生まれている。そんな中、ここ数年で密かに盛り上がりを見せている業界がある。それは、フードデリバリー業界だ。

Guggenheim Securitiesの調査によると、アメリカにおける飲食店と連携したフードデリバリーの市場規模は35億ドルと推定され、2019年までにはその額が4倍の125億ドルになると言われている。

なぜそれまでにこの市場が脚光を浴びているのか。それは、時間をかけることなく好きなものをオーダーして届けてもらえるという利便性にあるだろう。スピードを求めるだけであればPizza HutやDomino’s Pizzaなどでも十分なように思えるが、ここに加えて食に対するクオリティを求める消費者のニーズが相重なり、”より高いクオリティのものをよりスピーディーに”という消費者のリアルな声がマーケットに浸透していき、近年多くのフードデリバリーのスタートアップが生まれている。

最近の傾向としては、各企業がアプリ開発にも力を入れているため、消費者はいつ、どこからでも手軽にオーダー、そして決済できるのが特徴。CB Insightsはこのフードデリバリー業界の状況を「混みあっている市場」と比喩し、多くのVCがこの業界に注目しているため投資にも非常に積極的だと言及している。

今回は、そんな今サンフランシスコで人気を集めるフードデリバリーのスタートアップの中から厳選した5つを紹介したい。

1.Sprig

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2013年にローンチしたSprigは、”クリーンでシンプルな食事を通して健康に”をミッションにフードデリバリーサービスを展開している。

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Sprigは専属のシェフを抱えており、食材にこだわったヘルシーな料理を豊富に取り揃えている。

実はSprigを支える投資家の1人が元ホワイトハウスの専属シェフSam Kassということもあり、彼らが提供する料理は既に一流シェフによって認められているという訳だ。

また、特殊なデータサイエンスを使ってオーダーがいつ入るか予測することが可能な為、およそ15分~20分で配達することができる。しかも、配達中は車に搭載している独自の保存機器で、どんな料理も調理されたままの温度を保つこともできるという。

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CEO&Co-founderのGagan Biyaniは、今のアメリカでのフードビジネスでは安さと利便性ばかりに気を取られ健康に対する意識が減っていると考え、食材の本質を活かしたクリーンでシンプルな食事を提供したいとフードデリバリーを始めた。現在はサンフランシスコだけの展開だが、今後は国内全域までサービスを拡大させていく予定だ。

2.Thistle

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2013年に設立したThistleは、”ヘルシーでクオリティの高い食事を提供”をモットーに掲げた、フードデリバリーの新星スタートアップ。消費者に提供しているメニューは1日3食構成で、1食分からも購入が可能だ

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ベジタリアンやビーガン、アレルギーにも配慮したメニューはもちろん、カロリー、脂質、炭水化物、プロテインといった栄養成分の数値を細かく表示していることから、いかに消費者のニーズを捉えているかが分かる。また、自宅やオフィスであれば配達料金がかからないため、シーンに合わせて利用できるのも嬉しいサービスだ。

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CEO&FounderのAshwin Cheriyanは、健康で豊かな生活を啓発することをスローガンにこの事業を始めた。そもそも、彼の前職は法人顧問弁護士で多忙な生活を送っていたことから、まともな食事をとることができずにいた。徐々に食事制限をしていき健康の重要さに気づき、彼のような状況下で困っている人を支えたいと思い、このビジネスモデルが生まれたという。なお、昨年から始まった新サービスの事前予約プランでは、消費者が気軽に利用できるようにと、お試し用で1日分からも用意している。

3.Munchery

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2011年に設立したMuncheryは、多忙なスケジュールのために料理をする時間がない人や夕食に何を作るか迷った挙句、結局ジャンクフードで済ませてしまう人など、消費者の料理に対する悩みを解決するために生まれたスタートアップだ。

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鶏肉はフリーレンジのみを使用するなど食材にはこだわりを持ち、消費者が口にするもの全てを明確にするのがポリシーのようだ。そして、その厳選された食材を調理するのがMuncheryの素晴らしい専属シェフ達だ。彼らは料理において高い技術と知識を持ち合わせているため、まるでファインダイニングで食事をしているかのようなクオリティの高い料理を堪能できる。

また、Muncheryは消費者だけではなく環境にも優しい。CFP(カーボンフットプリント)のCO2を減少したり、再生紙を利用した生物分解性のトレーを使用することで、資源を守っている。また、一度のオーダーにつき、売り上げの一部をローカルのフードバンクに寄付するチャリティ活動も行っている。

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CEO &Co-founderのTri Tranは、もともとソフトウェアエンジニアであり2児の父親だったことからいつも仕事と家庭の両立に悩まされ、そこからフードデリバリーの事業アイデアが生まれた。Muncheryの利用者について「実はお客さんの90%はリピーターなんだ。アプリを通じてフードデリバリーできるのはとても重要なこと で、現段階ではオーダーの約50%がアプリから入っている。」と述べている。消費者のニーズをがっちりとらえているからこそ、3億ドル規模の事業を生み出すことが出来たのかもしれない。

4.Zesty

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2013年に設立した企業のオフィス向けケータリングサービスを展開するZesty。サンフランシスコ内の数多くのオフィスで利用されており、Slack、Instacart、Eventbrite、TechCrunchなど有名なスタートアップもZestyのクライアントだ。新鮮で豊富なメニュー、料理の盛り付け方、フレンドリーなスタッフなど、様々な理由からクライアントから高い評価を得ている。

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現在100以上もの個人経営のレストランとタッグを組んでおり、一般的なフードデリバリーとは異なった細かい配慮が可能となる。具体例として、料理に含まれている食材やカロリー、栄養成分全てを表記したリストを添えることで、オフィスワーカー達に幅広い選択肢を与えることができる。

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CEO&Co-founderのDavid Langerは、アメリカで以前から社会問題となっている大人や子供の肥満率を一大事と捉え、Zestyを始めた。人間の健康を促進することをミッションに掲げるZestyは、今やサンフランシスコ中のオフィスワーカー達を支える大役を担っている。

5.Postmates

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2011年に設立したPostmatesは、サンフランシスコを拠点に国内40都市で買い物代行サービスを展開。飲食店はもちろんのこと、デパート、オフィス用品店、アップルストア、どこへでも専属の配達人が買い物を代行し、商品を届けてくれる。つまり”何でも配達屋”といったところだ。

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Postmatesの大きな特徴として、24時間営業と1時間以内の配達というフレキシブルでスピーディーな対応が挙げられる。ウェブサイト又はアプリ内で配達にかかる時間が表示されているので、消費者は事前に待ち時間が分かる。また、飲食関連の配達ニーズが多いことから昨年12月にはスターバックスとパートナーシップを結び、シアトル内に限りスターバックスのアプリからコーヒーをオーダーできるサービスを開始した。

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3人のCo-founders、Bastian Lehmann、Sam Street、Sean Plaiceによって生まれたPostmatesだが、当初はフードデリバリーから始まり徐々に今のような何でも配達するスタイルに転換していった。最も配達のオーダーが多い時間帯は昼と夜で、それ以外の時間帯にもビジネスチャンスがあるのではと考えたのだ。朝はコーヒー、ティータイムにはスナックと時間帯のギャップを埋めていき1日中Postmatesを使ってもらえるようにと飲食以外の配達も始め、今では急成長を遂げているフードデリバリーのスタートアップと言えるだろう。

まとめ

上記5つのスタートアップを見て、何か気が付いたことはなかっただろうか。実はフードデリバリーのスタートアップは大きく分けて2つにカテゴライズできる。1つは、PostmatesやZestyのように飲食店と提携して料理を配達するタイプ。そしてもう1つはThistle、 Munchery、Sprigのように独自のシェフを持ち、彼らによって作られた料理を配達するタイプだ。

メリットとして、前者は飲食店とパートナーシップを組むことでフードビジネス全体に相乗効果をもたらすのに対し、後者は消費者のニーズに合わせメニューをアップデートさせることが可能だ。どちらにも利点があるので、これからフードデリバリーの事業を始めたい方にはぜひ両者を良く見比べて検討してほしい。

ちなみに、アメリカでは昨年からUberやAmazonもフードデリバリーサービスを開始した為、今後他業界からの参入でフードデリバリーマーケットの競争が一段と激しくなると思われる。この先5年、10年と見据えた時にこの競争で生き残るには、更なる消費者のニーズへの理解と新たなイノベーションが必要とされるだろう。

(佐々木加代 / Business Development, btrax Japan)

【参考記事】
Sprig参考記事
http://techcrunch.com/2013/11/06/sprig/
http://fortune.com/2015/04/15/sprig-funding/

Thistle参考記事
http://techcrunch.com/2015/10/12/healthy-food-delivery-startup-thistle-raises-1-million-and-pivots-to-a-subscription-model/

Munchery参考記事
http://www.businessinsider.com/how-tri-tran-came-to-america-and-founded-munchery-2016-1

Zesty参考記事
http://techcrunch.com/2015/07/14/healthy-food-delivery-startup-zesty-served-17-million-in-funding-to-distribute-beyond-the-bay/

Postmates参考記事
http://thenextweb.com/insider/2015/12/28/12-startups-that-made-an-impact-in-2015/
http://fortune.com/2015/06/25/postmates-delivery-funding/

【写真】
Munchery Co-founder, Tri Tran
http://greycroft.com/entrepreneurs/tri-tran/

btrax (ビートラックス)とは

btraxは米国サンフランシスコに本社、東京にもオフィスを構えるクリエイティブ・エイジェンシー。これまで多くのアメリカ・国際企業に対してブランドコンサルティングサービス及び日本企業の国際展開とイノベーション創出サポートを提供。こちらからお問い合わせ下さい。

またbtraxはデザインをメインにしたコーワーキングスペース、D.Hausを開設致しました。D.Hausは デザイン的視点から日本企業と地元のスタートアップがコラボレーションを行うことを目的に、2015年10月1日よりサンフランシスコに開設されているオフィススペースです。単なる作業スペースだけではなく、最新情報の提供やメンターシップ、イベントを通じ、ヒトと技術をデザインで繋ぐ事により、イノベーション創出の為のプラットフォームを実現します。こちらには崇城大学も入居しています。
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