スタートアップトレンドセミナー

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今後フィンテックにおいて重要な5つのポイント

前回、サンフランシスコで人気を博しているフードデリバリーのスタートアップを紹介させて頂いたが、今回はがらっと変わりお金の話をさせて頂きたい。とは言っても堅苦しい話ではなく、ここ数年で急激な進化を遂げている”フィンテック”(Fin Tech)について。

フィンテックを簡単に言うと、スマホやWebのテクノロジーを金融関連の仕組みに活用して新たなサービスを作り出す動きである。海外では主に非金融機関のスタートアップがサービスを展開し、それに対して銀行やクレジットカード会社といった金融機関が投資を行っているケースが多い。

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サンフランシスコでは、モバイルアプリを通しての送金、PayPalでの支払い、Squareでの課金などが日常的な為、銀行に行く必要性が全くないほど。ゴールドマンサックスの調査をみるとフィンテック系のスタートアップの市場価値は$4.7兆にのぼっており、フィンテックは支払いシステムの領域を越え、自動投資サービスなどの幅広い分野での活躍が期待されている。

今後フィンテックに対するニーズは益々高まっていくと予想され、日本に浸透する日もそう遠くないのでは。その為には今からキーとなるポイントをしっかり押さえておく必要があるだろう。今回はアメリカにおけるフィンテック事情を交えながら、今後おさえておくべき重要なポイント5つを紹介したい。

1.フィンテックが持つフィールドは多岐に渡る

フィンテックと一口に言っても、送金や支払い決済、資金運用などその用途は様々だ。現在、大きく分けて12のジャンルにカテゴライズされ、1,000社以上のスタートアップが存在すると言われている。下記のプレーヤーマップから分かるように、VenmoやPaypal、Stripeといった既に名の知れている有名スタートアップからWe PayやAffirmなど徐々に成長を見せるスタートアップと様々なタイプのスタートアップがあるが、各々が独自のサービス内容にフォーカスしている為住み分けができている。しかし、この先どんどんプレーヤーが増えていくことは間違いないので、フィンテック市場はさらに混み合うことが予想される。

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2.フィンテックを通じて生まれる人と人の繋がり

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既に1で述べたように、幅広いフィールドを持つフィンテックでは融資や資金調達も含まれている。これまでの金融機関による既存の審査方法を通じたドライで冷たい融資ではなく、ユーザー間でのお金の貸し借りが可能になる。Lending ClubやFunding CircleのようなP2P型マイクロファイナンスやKickstarterやIndiegogoなどのクラウドファンディングを通じて資金調達が可能となり、従来とは異なった方法で融資や資金調達が出来る。

また、ユーザーによる出資であれば、プロダクトの面白さや、社会に対する価値、起業家の情熱といった既存の審査方法以外の項目で評価してもらえる可能性もあるだろう。つまり、ユーザー同士がお金を貸し借りする事により人と人との繋がりが生まれ、ビジネスライクでありながら互いをサポートしあえるような関係を作り出すことができるということだ。

3.ミレニアム世代を中心としたユーザー規模の拡大

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クレジットカードを持てない学生やデジタルネイティブ、銀行よりもモバイルアプリを使いたいと思っている若者など、フィンテックのサー ビスを利用したいと思っているユーザーの多くが、ミレニアル世代を始めとした若者達である。パソコン、インターネット、モバイルなどの環境で育った彼らは、日常生活で何の違和感も無くVenmo, PayPal, SnapCashといったフィンテック系サービスを使いこなしている。

また、アメリカでは35歳以下の若者が人口の過半数を占める上に、ミレニアム世代のスマートフォン保有率が85%に昇ると言われている。この数値から見ても、彼らがいかにフィンテックのマーケットに影響を及ぼすのかが分かるだろう。

4.プレーヤーは金融業界だけに有らず

昨年、Apple PayのUXにかなり近いAndroid PayやSamsung Payの相次ぐリリースにより、モバイル決済が形になる未来の姿を目の当たりにした。しかし、これはモバイル決済のほんの始まりにすぎない。今年はこれらの企業がペイメントサービスの開発をさらに進め、ロイヤリティやストアカード、クーポン等を強化し決済分野へと踏み込んでいくと見られる。

また、SNSの王者であるFacebookもアメリカ内で送金サービスを開始している。Facebook Messangerのアプリに”$”のマークが付いたアイコンを追加して、メッセージ感覚で友達に送金ができるようになった。このように、AppleやGoogle、Samsung、Facebookといった金融業界ではない業界もプレーヤーとしてフィンテックに参入していることから、正しいユーザー体験を設計しておけば、どの業界でも広範囲に事業展開を拡大することができるということだ。

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Facebook Messangerの画面(アメリカ国内)

5.飲食店とフィンテックの強い関連性

アメリカでは、ファーストフードやカフェといったカウンター上でオーダーする飲食店をクイックサービスレストラン(QSR)と呼ぶ。昨今、QSRでは平均注文額やオーダーの頻度、顧客のロイヤリティ、絶対的な売上金額の増加を狙って、デジタルオーダーシステムを導入するところが増えてい る。

例えば、メキシカンフードのタコベルでは、店頭での注文よりモバイル経由の注文の方が注文額が20%高いと言われている。スターバックスでは最近自社のモバイルオーダーシステムを導入し、高い頻度で顧客に利用されているようだ。その他のQSRでは似たような効果を求め、QSR50に掲載されているQSRのトップ20に君臨するブランドの80%がモバイルオーダーシステムを導入、もしくは試用段階にあるという。また、モバイルオーダーシステムの効果を最大限に発揮させるために、ポイントサービス等のロイヤリティプログラムを活用することで顧客のシステム利用を促進する動きも見られる。

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スターバックスのモバイル注文画面

まとめ

フィンテックにおける重要なポイントを上記にまとめさせて頂いたが、日本でのフィンテックの有り方について賛否両論があるかもしれな い。フィンテックは効率的で利便性が非常に高い反面、”通貨や紙幣のお金”から”数字だけで見るお金”となり、お金そのものの価値観が下がってしまうようにも見受けられる。

現に、筆者も過去アメリカとニュージーランドで住んだ経験があるが、お金を持ち歩くことは皆無に等しかったのを覚えている。海外では、 オンラインバンキングのアプリから家賃や光熱費を支払うことや、登録しているデリバリーサービスのアプリからオーダー・決済することは当たり前で、慣れてしまうと意外とすんなり受け入れられたりもする。

ちなみに、ここ数年で一気に話題となったAirbnbやUberなどのシェアリングエコノミーサービスもオンライン上での決済となるので、すんなりフィンテックに介入している。そんな業態を問わずどのユーザーにもリーチできるフィンテックは今後どのように私達の生活に影響を及ぼすのか、 とても楽しみである。

(佐々木加代 / Business Development, btrax Japan)

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